公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室

発表データ

2018 夏のセミナー 神経病理ハンズオン

中枢神経系の染色法 − 的確な病理診断のために −

公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室 関 絵里香

HE染色法の技術的ポイント

ヘマトキシリン染色液のpH値と染色像

HE染色の染色像は主にヘマトキシリン染色液のpH値によって左右される。したがって、最適なpH値の染色液で染色した場合は良い染色像が得られる。しかし、pH値が適切ではない場合は共染が強い、もしくは非常に色合いが薄い染色結果となる。このように染色像が染色液のpH値に左右される理由は、色素と組織成分がイオン結合するからである。

まず、ヘマトキシリン染色液は正に荷電するため、組織の中で負に荷電する成分とイオン結合する。従って、核やニッスル小体にある核酸のリン酸基が負に荷電するとヘマトキシリンとイオン結合し青く染まる。

つまり、核がヘマトキシリンと結合して青く染まるためには、核のリン酸基が負に荷電するように、染色液を適切なpH値に調整する必要がある。

一方、エオジン染色液は負に荷電し組織の中で正に荷電する成分とイオン結合する。従って、組織を構成する蛋白質のアミノ基が正に荷電するとエオジンと結合してピンク色に染まる。つまり、エオジン染色液を適切なpH値に調整することで、細胞質などの蛋白質がエオジンとイオン結合しピンクに染まる。

ヘマトキシリン染色液の酸化と染色像

ヘマトキシリン染色液濃度と切片の厚さ

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