公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室

発表データ

第58回日本神経病理学会総会学術研究会・神経標本技術フォーラム

ボディアン染色法に代わる神経繊維染色法の模索

東京都医学総合研究所・神経病理解析室 関絵里香

Introduction

ボディアン染色法とは・・・

しかし、ボディアン染色法には欠点が3つある。

欠点①染色結果がプロテイン銀の質によって著しく左右される

Merk社製とSigma社製プロテイン銀の比較。左2枚:神経細胞、右2枚:内包。
Sigma社製品は淡い灰色に全体が染まる。神経線維や細胞を染めることができない。

欠点②良質なプロテイン銀が常に市場にある保証はない

←販売中止となった良質なプロテイン銀
汎用されてきたプロテイン銀が相次いで販売中止となり、良質なプロテイン銀を入手できない時期があった。
(現在はWako社製品が入手できる)

欠点③プロテイン銀は高額である(予算がなければ気軽に買えない使えない)

つまり、プロテイン銀の質、製造状況、価格によって染色が左右される。
したがって、プロテイン銀を使用しないボディアン染色法以外の選択肢が必要と言える。

目的

ボディアン染色法に代わる神経鍍銀法を模索する

手法

代替染色候補を選び中枢神経系組織の染色性を比較する

Method

代替染色法の候補選出

神経線維の微細な構造の変化および神経原線維変化等の凝集体の検出が可能かどうかで選出

染色性の比較

Result

染色結果①内包・神経線維

左:ボディアン染色、中:ホームズ染色、右:Hirano-Zimmermann(H-Z)染色

染色結果②筋萎縮性側索硬化症(ALS)・神経線維

上段:脊髄後索 、下段:錐体路(側索)
左:ボディアン染色、中:ホームズ染色、右:Hirano-Zimmermann(HZ)染色

染色結果③脊髄小脳変性症・神経線維

上段:エンプティバスケット 、下段:トルペド
左:ボディアン染色、中:ホームズ染色、右:Hirano-Zimmermann(HZ)染色

染色結果④アルツハイマー型認知症・線維成分の凝集体

上段:神経原線維変化、下段:老人斑の変性軸索
左:ボディアン染色、中:ホームズ染色、右:Hirano-Zimmermann(HZ)染色

染色結果⑤多系統萎縮症、グリア細胞質内封入体(GCI)

上段:神経原線維変化、下段:老人斑の変性軸索
左から、ボディアン染色、ホームズ染色、Hirano-Zimmermann(HZ)染色、ガリアス・ブラーク染色

染色結果⑥外側膝状体・神経細胞

ボディアン染色
オールマイティに神経線維、凝集体、細胞核、細胞体を染めることができる。
ホームズ染色
神経線維、凝集体を鮮明に染めることができる。細胞核、細胞体は輪郭を染める。
Hirano-Zimmermann染色
神経線維、凝集体、細胞核、細胞体を染めるがボディアン染色と比較すると神経線維はぼんやりしている。

Conclusion

Kursus

神経病理クルズス

ガイドライン

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