- プロフィール
- 仕事の紹介
- 発表データ
- 受賞
- 研究業績
- 組織標本作製メソッド
プロフィール : 関 絵里香
►学歴・職歴
- 1993年
- 埼玉県立浦和第一女子高校卒業
- 1997年
- 筑波大学第2学群・生物学類卒業
- 1999年
- 筑波大学修士課程・医科学研究科修了(医科学修士取得)
- 2002年
- University of Washington, School of Social Work, Master of Social Work Program 修了
(Master of Social Work取得)
- 2002年
- NPO法人・愛知市民教育ネット・専属職員
- 2004年
- 自然科学研究機構・生理学研究所・分子神経生理部門・技術支援員
- 2012年
- 東京都医学総合研究所 神経病理解析室・主任技術研究員
- 2014年
- 同上 主席技術研究員
- 2023年
- 分子病理ヒストロジー解析室・主席技術研究員
►受賞歴
- 2015年
- 東京都医学総合研究所 理事長表彰
- 2019年
- サクラ病理技術賞奨励賞
►公的役職
- 2016年
- 日本神経病理学会 学術研究会運営委員会 陪席委員
- 2017年
- 第58回日本神経病理学会総会学術研究会 事務局長
- 2021年
- 日本神経病理学会 2021年度 代議員
►資格等
毒物劇物取扱責任者
►自己紹介
学生のころから実験をすることが大好きです。夫の留学に伴って渡米し、自分も留学するなど寄り道はありましたが、10年ほど研究に関わる仕事をしてきました。現在の職場では、標本と向き合う日々を送れて幸せです。
実生活では二児の母親です。子供たちはまだまだ手のかかる年齢なので、子育てと仕事の両立は大変ですが、ストイックな生活を送ることが好きなのと、体力に自信があるため、毎日のドタバタ生活を楽しんでいます。
関 絵里香・主席技術研究員(常勤)の主な仕事内容をご紹介します。
研究補助スタッフともども、下記の項目についての実務と進行管理を担当しています。
►標本作製
共同研究の覚書を締結している病院等と共同して、病理検体などから標本作製を行っています。大型脳病理標本を作製するための大型ミクロトーム(ポリカット)などを駆使して、良質な標本作成を行っています。病理解剖例のほか、司法・行政解剖の鑑定書作成のための技術指導契約に則った標本作成、また、脳外科手術例の診断コンサルテーションのための標本作製も行っています。
►脳神経病理ライブラリの精度管理と運用実務
様々な蛋白質の組織学的な活性について、ホルマリン固定検体、パラフィン包埋検体において検証することは、染色結果を吟味する上で重要です。固定前までの状態や、固定後の保存状況、また、パラフィンブロックになるまでの行程などの違いなどによって、蛋白質など標的分子の活性が左右されることも多くあります。このようなライブラリの精度管理と、適切な運用を担当しています。
►ヒト検体を用いた基礎研究とのコラボレーション
基礎研究を行うプロジェクト研究チームとのコラボレーションにより、基礎研究チームにおける関心分子が、ヒト神経組織内において、どのように表出しているのか、などについて検討しています。前述した脳神経病理ライブラリの精度管理は、このような共同研究の精度維持に密接に関わってきます。
►実験動物の中枢神経病理解析
具体的なことはコンフィデンシャルで進行中のため公表できませんが、神経疾患の病態を検証するために作出された遺伝子改変動物や、外傷モデル動物など、ヒトの中枢神経系以外の検体においても、中枢神経系の標本作成をしながら、その病理学的な背景について検討を行っています。
►標本作成技術の開発と普及活動
細胞成分や病変などを正しく反映した良質な染色を行うことは、診断や研究の遂行にとって極めて重要なことです。また、神経細胞の突起(軸索、樹状突起)や異常線維の固まりなどを染め出すボディアン染色に必要な試薬(プロテイン銀)の供給に支障を来しているため、代替染色の開発などを行っています。さらに、脳神経病理データベースや学会などの教育企画において、普及・研修活動も行っています。併せて論文発表も行っています。
►実験室の作業管理・作業環境管理
神経病理解析室における作業管理・作業環境管理を担当し、安全・安心な研究環境作りに貢献しています。
発表データ
劣化したガラス標本の修繕
ミクロ検索法 各種染色法と組織切片の見方
中枢神経系の染色法 − 的確な病理診断のために −
ボディアン染色法に代わる神経繊維染色法の模索
ヒト凍結切片の髄鞘染色における非特異的反応の回避方法
中枢神経系の染色法
− ヘマトキシリン・エオジン染色法と5つの特殊染色法 −
神経病理における標本作成技術の共有
− ウェブサイトを活用した取り組み −
ボディアン法の代替染色法の開発
ーホームズ法の改変ー
受賞
►第11回 サクラ病理技術賞奨励賞を受賞
日常業務での技術・知識の向上、後進技師の育成(技術の伝承)、地域医療への顕著な貢献というさまざまな活動が評価・表彰される機会が少ないなかで、サクラ病理技術賞は病理学的検査・技術に関する活動を支援する独自の報奨制度として、2008年に創設された。
神経病理解析室の関絵里香・主席基盤技術研究職員は、医療の地域間格差をなくすために、人の脳標本作成の知識・技術を発信する活動に携わってきた。そのための環境整備としてウェブサイトの立ち上げや講演活動を行ってきた。また、知識・技術を共有する場として神経標本技術フォーラムを企画し、第58回日本神経病理学会にてフォーラムを開催した。その行動力が評価され第11回サクラ病理技術賞奨励賞の受賞にいたった。
https://www.sakura-finetek.com/news/pressreleases/20190422
雑誌掲載の予定等
- サクラファインテックホームページにて受賞者コメント、6月末掲載予定
- 東京・如水会館にて授賞式、8月3日
- MTJ広告、受賞式記事掲載、8月11日もしくは21日号掲載予定
- Histo-Logic Japan 2019年版、発行予定日10月末
►平成28年度東京都医学総合研究所 理事長表彰を受賞
入所以来の活動が評価されて平成28年度の理事長表彰をいただきました。
受賞理由は以下の通りです。
受賞理由
① 旧研究所の神経病理研究の統合への貢献
旧研究所における神経病理研究の歴史は長く、学際的にも中心的な役割を担ってきており、医学研の発足時から、両者の実質的統合が懸案であった。関絵里香氏は平成24年4月、神経研の流れを汲む脳病理標本リサーチセンター(当時)に採用されてのち、標本作成技術の継承の中心となり、さらにその後、神経病理解析室発足を契機に、人員や機材・試薬など、精神研の活動も自らのラボ運営に取り込むことに多大に尽力した。その結果、一元的なシステムや実験環境で神経病理解析を行う仕組みを作り上げることに成功し、脳神経病理ライブラリーの実質的なマネージャーの役割を果たしている。
② 基礎研究との共同研究への貢献
基礎研究での事象について、様々な関心分子の脳内での表出解析を、現在、ユビキチンPJ、視覚病態PJ、可塑性PJ、こどもの脳PJと共同で行っている。また、遺伝性パーキンソン病の病態解明を目指す、順天堂大学神経内科と医学研の共同研究にも参画し、遺伝子改変マウス(CHCHD2)の病理解析も行っている。さらに、社会的にも喫緊のテーマである「爆傷が脳に与える研究」について、レーザーによる爆傷モデル動物脳の解析を、防衛医科大学からの依頼で開始した。これらの研究活動は、従前のような、単にヒト脳標本の作成に留まらず、神経病理解析室の新しい活動として特筆され、関絵里香氏は、その中心的な役割を担っている。
③ 神経標本作成技術の開発・改良への貢献
神経線維を染色する特殊な試薬が市場からなくなった事を受け、新しい代替染色法を開発し、学会発表、誌上発表するなどして、普及・啓蒙活動に尽力している。これらの技術の普及について、都立病院の技師会への働きかけを開始したところであり、病院連携をさらに推進させることが期待される。
研究業績
学術論文等
- Kishi, E., Ootsuka, Y. and Terui, N. Different cardiovascular neuron groups in the ventral reticular formation of the rostral medulla in rabbits: single neuronal examinations. Journal of Autonomic Nervous Systems, 79, 74-83, 2000.
- Ootsuka, Y., Rong, W., Kishi, E., Koganezawa, T. and Terui, N. Rhythmic activities of the sympatho-excitatory neurons in the medulla of rabbits: neurons controlling cutaneous vasomotion. Journal of the Autonomic Neuroscience, Basic and Clinical, 101, 48-59, 2002.
- 関 絵里香, 江口弘美, 新井信隆. 中枢神経系の染色技術の標準化. 病理と臨床, 33-4, 400-405, 2015.
- 関 絵里香. 染色法とミクロ所見の見方. 第11回神経病理コアカリキュラム教育セミナーハンドアウト, 13-22, 2015.
- 関 絵里香. 中枢神経系の染色法-より良い病理標本を目指して-.第12回神経病理コアカリキュラム教育セミナー, 9-18, 2016.
- 関 絵里香. 中枢神経系の染色法-ヘマトキシリン・エオジン染色法と5つの特殊染色法-. 第13回神経病理コアカリキュラム教育セミナーハンドアウト, 46-55, 2017.
- Y Goshima, Shuya Watanabe, Erika Seki, Motokazu Koga, Daiki Masukawa, Fumio Nakamura, Takashi Komori, nobutaka aria. Immunoreactivity of a G protein-coupled L-DOPA receptor GPR143, in Lewy bodies. Neuroscience Research. 453-, 2018.
- 関 絵里香, 新井信隆. 臨床医のための神経病理再入門 髄鞘. Clinical Neuroscience, 36-2, 146-148, 2018.
- 関 絵里香. 神経変性疾患検索のための染色選択. 病理と臨床, 37-5, 457-460, 2019.
- 関 絵里香. ミクロ検索法-各種染色法と組織切片の見方. 第14回神経病理コアカリキュラム教育セミナー, 12-21, 2019.
- 関 絵里香. 改良ガリアス・ブラーク染色. 染色法のすべて, 第1刷第1版, 169-172, 2021.
- 関 絵里香. 「固定」の技術を極める, 2. 徹底解剖!固定の技術, 1) 脳. Medical Technology, 49-8, 824-827, 2021.
学会発表等
- 1999年
-
Society for Neuroscience, 29th Annual Meeting, Two kinds of sympatho-excitatory neurons in the rostral ventrolateral medulla. 筑波大学・基礎医学系・生理学グループ、岸 絵里香、大塚曜一郎、照井直人
- 2014年
- 都立病院等連携研究発表会, 脳神経病理データベースを活用した診断標準化プログラムの開発と運用、関 絵里香, 小森隆司, 福水道郎, 鈴木秀人, 新井信隆, 江口弘美, 植木信子, 八木朋子, 山西常美.
- 2015年
- 第56回日本神経病理学会総会学術研究会. ボディアン法の代替染色法の開発: ホームズ法の改変, 関 絵里香, 江口弘美, 新井信隆.
- 2017年
- 第58回日本神経病理学会総会学術研究会、神経標本技術フォーラム. ヒト凍結切片の髄鞘染色における非特異的反応の回避方法, 関 絵里香.
- 2017年
- 第58回日本神経病理学会総会学術研究会、神経標本技術フォーラム. ボディアン染色法に変わる神経線維染色法の模索, 関 絵里香.
- 2019年
- 第108回日本病理学会総会、中枢神経系の診断力向上への取組み・デジタル教育ツールの利用, 関 絵里香, 小島利香, 関山一成, 植木信子, 八木朋子, 新井信隆.
- 2020年
- 第61回 日本神経病理学会総会学術研究会, 神経標本技術フォーラム, 標本作製 技術の標準化とウェブサイトの活用, 関 絵里香・小島利香・江口弘美・植木信子・八木朋子・新井信隆
- 2021年
- 第62回 日本神経病理学会総会学術研究会, 神経標本技術フォーラム, 劣化したガラス標本の修繕, 関 絵里香、小島利香、新井信隆
教育講演
- 2015年
- 第11回神経病理コアカリキュラム教育セミナー, 染色法とミクロ所見の見方, 関 絵里香
- 2015年
- 2015年度都医学研夏のセミナー「臨床教育コース」、神経病理ハンズオン、染色法とミクロ所見の見方—ヘマトキシリン・エオジン染色を中心に, 関 絵里香
- 2016年
- 第12回神経病理コアカリキュラム教育セミナー, 中枢神経系の染色法-より良い病理標本を目指して-, 関 絵里香
- 2016年
- 2016年度都医学研夏のセミナー「臨床教育コース」、神経病理ハンズオン, 中枢神経系の染色法、関 絵里香
- 2017年
- 第13回神経病理コアカリキュラム教育セミナー, 中枢神経系の染色法-ヘマトキシリン・エオジン染色法と5つの特殊染色法-, 関 絵里香
- 2017年
- 2017年度都医学研夏のセミナー「臨床教育コース」、神経病理ハンズオン, 中枢神経系の染色法−ヘマトキシリン・エオジン染色法と5つの特殊染色法-, 関 絵里香
- 2018年
- 2018年度都医学研夏のセミナー「臨床教育コース」、神経病理ハンズオン, 中枢神経系の染色法- 的確な病理診断のために, 関 絵里香
- 2019年
- 第14回神経病理コアカリキュラム教育セミナー, ミクロ検索法-各種染色法と組織切片の見方, 関 絵里香
- 2019年
- 2019年度都医学研夏のセミナー「臨床教育コース」、神経病理ハンズオン, ミクロ検索法-各種染色法と組織切片の見方, 関 絵里香
教育講演
- 2017年
- 東京都医学総合研究所職員表彰受賞、脳神経病理ライブラリの整備と運用、関 絵里香
- 2019年
- サクラ病理技術賞奨励賞受賞、中枢神経系の標本作製技術の標準化、関 絵里香
ミッション
病理診断は標本の質に大きく左右されます。そのため、細胞成分や病変などを正しく反映した標本を作成することは重要なことです。
私たちは、神経病理の分野で、正しい標本を作成するための知識と技術の普及に取り組んでいます。
Mission
Tissue diagnosis heavily depends on the quality of sections. Therefore, histotechnologists need skills to prepare sections that accurately reflect cell components and lesions.
We are committed to spread knowledge and skills of the precise preparation of sections in neurohistology.