公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室

発表データ

2018 夏のセミナー 神経病理ハンズオン

中枢神経系の染色法 − 的確な病理診断のために −

公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室 関 絵里香

ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色法

HE染色とは?

これは中心前回の写真である。真中には大型神経細胞・ベッツ細胞がある。良く見ると、ベッツ細胞とその周りの組織は青とピンクの2色に染め分けられている。青く染まる構造物は好塩基性(Basophilic)、ピンク色に染まる構造物は好酸性(eosinophilic)と呼ぶ。このように、組織はHE染色によって好塩基性と好酸性に染め分けることができる。

写真の中で、各構造物の名称を好塩基性は青に好酸性はオレンジに色分けして示す。リポフスチンは特に好塩基性でも好酸性でもないため色分けしない。

HE染色法でみる中枢神経系の構造

部位による神経細胞・細胞体の形状の違い

神経細胞は部位によって形態が多様である。まず、サイズは10から100μmと多様である。例えば、中心前回のベッツ細胞は細胞体の長径が130μmにおよぶ。一方、小脳顆粒細胞は細胞体の長径は5-8μm程度で、細胞質は識別できずリンパ球のような核のみが見える。

また、ニッスル小体は大きさ、量、分布が細胞の種類によって異なる。例えば、運動神経細胞では粗大な塊状で量が豊富である。一方、知覚性神経細胞ではニッスル小体は小さい。

さらに、リポフスチンや神経メラニンなど生体色素は細胞によって蓄積する量が異なる。例えば外側膝状体の神経細胞はリポフスチンが多い。また、神経メラニンは黒質緻密体、青斑核の神経細胞などに含まれる。

HE染色法でみる中枢神経系の病理構造

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