公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室

いったよやったよ/2017

証人として裁判所に出廷してきました

個別案件の事を書く事は致しませんが、神経病理の専門性を生かした証言をして参りました。

いわゆる“科学的根拠”と言われる要素が、弁護側、検察側のやりとりの中で、科学的ではないものに変質してゆきはしないのか、というような危惧もありましたが、やはり、脳の中にある“病変”は、なによりも雄弁なものであると感じました。貴重な体験を通して、病理診断の重要性を改めて痛感致しました。

臨床的なことを中心としたストーリーが最初にあって、それに整合するような病理所見だけを抽出して、臨床医に都合のよい診断がまかり通るような、そんな、本末転倒なことは、今の時代にはなくなっていると思いますが、裁判の世界では、なおさら注意をしなければいけないと、肝に銘じた次第です。

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横浜市立大学医学部で講義をしてきました

12月8日、横浜市立大学医学部において、5年生を対象にした講義をしてきました。分子病理学教室の客員教授を担当していますので、そのお役を果たして参りました。内容は神経病理、です。

神経病理の講義や実習は、私が横浜市大分子病理(当時は第二病理)に在籍したときより、かなり枠が少なくなっています。10年以上前の教育プログラムの改訂によるコアカリキュラムを導入の結果として、病理だけでなく、いわゆる基礎カリキュラムは、かなりコマ数が少なくなってしまい、反面、臨床に力点をおいたカリキュラム構成になっています。

そのような状況の中、臨床どっぷりの5年生に対する基礎講義は、ニーズにフィットしないのではないかと、強く感じた次第です。

今回は、病理実習室に学生さんがiPadを持参して、実習室のwifiにつなげる形式でしたが、100人が同時にwifiでアクセスすると、やはり動きがかなり鈍くなります。1Gbpsくらいの速度でLAN接続しないと、効率が悪いということが、収穫というわけではありませんが、実感できました。この点については、それぞれの大学でのインフラの整備をよくしていただかないと埒があかないのですが、肝心な部分を改めて気づかされました。

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東京医療学院大学で講義をしてきました

12月1日、東京医療学院大学(東京都多摩市)で講義を行ってきました。講義名は、「ヒト脳神経疾患の病理」です。

学長の佐久間康夫先生は、母校横浜市大医学部の先輩であり、5年程前から、講義の機会をいただいているところです。

学生さんの専攻は作業療法士、理学療法士を目指す学科であり、いわゆるコメディカルの人材育成の大学です。学生さんも、熱心に講義に向き合ってくれますので、とても楽しく講義をさせていただいております。ブレインカッティングの動画を用いたプレゼンや、ホールスライドイメージを用いた、リモートパソロジー実習の実演などを行いました。少しでも中枢神経系の病理に興味を持っていただき、将来、様々な医療職についたときに、思い出していただければ幸いです。

今後、我々の得意技であるデジタル病理を中心にした、医療系大学のための共通した教材を作成してゆく予定ですので、今後もコラボレーションさせていただければ嬉しく思います。

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世界脳週間講演会の冒頭挨拶をしてきました

世界脳週間とは、脳科学あるいは神経科学と言われる研究成果がいかに社会に役立つものになるのか、ということを一般社会人に啓蒙するキャンペーンのことで、世界的な規模で行われているものです。

始まったのは、1992年に米国の神経科学者がお声をあげ、講演会や研究所・大学などの研究機関の見学会などを企画しました。その後、ヨーロッパ、アジアに広がってゆき、趣旨に賛同する研究機関などが、様々な独自に企画を行うようになってきました。

日本では2000年から、脳の世紀実行委員会(現在はNPO法人脳の世紀推進会議)が主導して全国の大学、研究施設、高校等で講演会を中心とする啓蒙活動を行っているところです。医学研も旧研究所の頃から趣旨に賛同し、毎年、学校法人桜蔭学園・桜蔭高等学校のご協力をいただき、講演会を開催しているところです。

2017年は、全国で14の施設で行われており、今回、桜蔭高等学校を会場とする講演会は、12回目にあたります。また、高等学校を会場とする企画は2017年では今回の講演会を含め、3箇所(名古屋、京都、東京)のみです。従って、世界脳週間講演会という世界規模のキャンペーン活動に直接参加することができる高校生は、極めて少人数ということになります。是非、この貴重な体験を、今後の進路選択や世界観を広げるために、生かしてもらいたいと思います。

以上が、冒頭での挨拶の趣旨になります。写真は、演者の一人の、医学研・病院等連携研究センター長の糸川昌成研究員の発表時の模様です。

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第51回日本てんかん学会学術集会で教育講演をしてきました

11月4日(土)、京都・宝ケ池の国際会館で開催されました第51回日本てんかん学会学術集会において、「てんかんの病理」という演題の教育講演をしてきました。主にてんかん外科手術に際して観察する脳病変のうち、海馬硬化と脳形成異常についてレクチャーしてきました。

国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy; ILAE)が2013年にEpilepsia誌上で発表した海馬硬化の病理ステージ分類、および、2011年と2013年に同誌で発表した限局性皮質異形成(Focal cortical dysplasia; FCD)に関する病理分類について、要点と課題(今後の改善点)を解説してきました。

日本てんかん学会での教育講演は、21年前の第30回学術集会(1996年)の折に、会長の石島武一先生にお声がけいただいたのが最初です。当時私は、てんかん外科治療の先駆けであったロンドン南部のモーズレー病院と同じキャンパスの、ロンドン大学精神医学研究所での留学から帰国したばかりでしたが、帰国してみると(東京都神経科学総合研究所に復職)、おとなりの東京都神経病院脳神経外科では、精力的にてんかん外科治療が行われている真最中でした。

清水弘之先生(当時・神経病院部長)、川合謙介先生(現・自治医大教授)、前原健寿先生(現・東京医科歯科大学教授)など、蒼々たる先生が脳神経外科に在籍され、ちょうど、小児の難治性てんかんに対する手術にチャレンジしている時でした。そのころ、治療対象となったのが限局性皮質異形成(Taylor typeのFCD)、結節性硬化症、片側巨脳症といった脳形成異常でしたが、今のFCD分類は、Taylor typeのFCDを含めるのは当然ですが、それ以外の結節性硬化症、片側巨脳症、その他様々な微細な変化をカバーしており(さらには漏れも多く)、今後、改訂していただきたいと思っているところです。

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BioJapan2017@パシフィコ横浜でプレゼンしてきました

アジア最大級のバイオパートナリングイベントであるBioJapanが、今年も横浜パシフィコで開催されました。

(2017.Oct 11 〜 13)。医学研は最近毎年、アカデミアとしてのブースを出していますが、今年は、私どもが作成している『脳神経病理データベース』をフューチャーしていただき、出展ブースでのポスター展示とフライヤー配布(写真)、および、出展者プレゼンテーション(30分)を行ってきました。

プレゼンテーションでは、中枢神経系の病理所見のホールスライドイメージのデータベースの紹介を通し、今後のデジタルパソロジーの行方について、概説してきました。大会場のオープンスペースでのプレゼンは、いつもの講演などとは違い、不特定多数の人達へ向けたメッセージを発信しなければいけない、という点での難しさを感じましたが、終ってみれば、名刺交換をさせていただいた企業様も多く、今後、何らかのコラボレーションができれば嬉しいです。

プレゼン内容は、脳神経病理データベースにバナーを貼っていますので、閲覧することができます。ご興味ある方は、是非ご覧ください。

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第15回日本デジタルパソロジー研究会に参加してきました

第15回日本デジタルパソロジー研究会が2017年9月21日から23日の3日間に渡り、日本橋浜町のサクラファインテックジャパンの会議室で行われました。メインテーマは「デジタルパソロジー時代の標本作製〜診断」でした。デジタル病理診断をする際の至適な標本はどのようなものか、というテーマでしたが、病理診断は完全デジタル化、という枕言葉が随所に現れた研究会でした。

初日の開会式からほぼ満席です。私は午後後半でのセッションで座長を担当しました。ミャンマーから長崎大学に研修に来ている留学生の発表(英語)、亀田総合病院でのデジパソ運用、iPadを用いた教材に関する情報提供、都合3つの演題の司会を担当しました。ラボからは小島さんが参加しました。

2日目は、毎年特別講演で来日される八木由香子先生(前Harvard University、現Memorial Sloan Kettering Cancer Center)のレクチャーがありました。グロスな臓器を撮影するmicro-CTの最前線のお話しがとても興味深く思いました。いつも新しいことに、一見「さらり」と取り組んで結果を出している姿に感銘を受けます。 2日目はラボのデジパソ担当のキーパーソンである、チームキアズマの植木さん、八木さんが参加しました。知り合いのベンダーさんとも意見交換をしました。

後日、本研究会の模様は日経デジタルヘルスで記事となりました。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/327442/092700146/?ST=health

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組織細胞化学講習会&実技講習会 参加報告

8月2日〜4日に前橋で行われた第42回組織細胞化学講習会&実技講習会に参加してきました。

1日目と2日目は組織細胞化学講習会、3日目がコースを選択する実技講習会となっています。

今回は「免疫組織化学とその関連技術を正しく理解し、正しく使うために」というテーマになっており、2日間かけて免疫組織化学の基礎から応用までしっかりレクチャーを受けてきました。日常業務ではあまり馴染みのなかった項目もありましたが、基本原理から丁寧な説明があり初心者でも理解しやすい内容になっていました。

3日目の技術講習会は全11コースの中から「生物顕微鏡の基礎知識の習得」というコースを選択しました。こちらのコースは株式会社ニコンインステックが担当しており、ニコンの顕微鏡を使った実技実習があります。

今まで何となく使っていた顕微鏡でしたが、基本となる設定からしっかり教えて頂き大変勉強になりました。

この講習会には初めての参加でしたが、普段あまり学ぶ機会のなかった技術的な知識をたくさん得ることができ、とても充実した3日間でした。

群馬といえば、ぐんまちゃんがマスコットキャラクターとなっており、組織細胞化学講習会のHPにも登場していますが、前橋市には「ころとん」という豚のキャラクターがいます。講習会会場のお土産屋さんにも沢山のグッズが置いてあり大人気でした。

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第58回日本神経病理学会総会学術研究会 開催報告

6月1日〜3日、東京都千代田区一ツ橋の学術総合センターにおいて、第58回日本神経病理学会総会学術研究会を主宰いたしました。医学総合研究所の前身の研究所(神経研、精神研)の在籍者が会長を務めた学術研究会は6回ありますが、医学研になってからは筆者(新井)が最初の会長となりました。大変光栄なことであると思っています。ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

今回の主題は「All Japanで神経病理! 学際的な神経研究を推進しよう!」です。言うまでもなく、社会情勢のみならず、医学・医療・生命科学の分野においても、私どもは、加速度的、革新的に激変する潮流の真っただ中にあります。例えば、iPS細胞などによる再生医療への挑戦、CRISPER/Casシステムなどによるゲノム編集技術の開発、次世代シーケンサーや蛋白質量解析機による網羅的解析などなど、これまで以上のスピード感のある展開が待っていることは自明です。これらに病理がどのように関わってゆくのか、ということを議論する学会にもなったものと思っています。

本学術研究会には、会員以外も含めまして、予想を遥かに越える多くの参会者をいただきました。旧来の学問体系の枠を越えた学際的神経研究のきっかけになれば望外の喜びです。

学会の各種企画や準備状況などは、ホームページやフェイスブックで発信していますので、ご覧ください(http://jsnp58.umin.jp/)。

会長を指名されてから足掛け3年。特に最後の1年は、スタッフの皆様に支えられて無事、盛会裡で終了させることができました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

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第122回日本解剖学会総会・全国学術集会 参加報告

3月28日〜30日の3日間、長崎大学の坂本キャンパスで行われた第122回日本解剖学会総会・全国学術集会に参加しました。

シンポジウムも一般演題も解剖学会らしく幅広いテーマの発表があり、どれも大変興味深かったです。ワークショップでは医学教育に関する発表が多くあり、参考になるお話を沢山聞くことが出来ました。

私たちは3日目にポスター発表を行いました。今回のポスターはデータベースのコンテンツのご紹介と、Zoomify画像の作成法についての内容となっています。実際にZoomify画像を体験して頂くために、今回は解剖学会の参加者用のデモルームも作成しました。

ポスターを見にきてくれた方は教育関係の先生が多く、データベースのコンテンツに関するご質問を多く頂きました。

神経病理解析室が提供するe-learning教材は大学の先生と内容をご相談しながら学校ごとにオリジナルの教材を作成しています。解析室には約5000症例の豊富な病理標本がありますので、なかなか見る事が出来ない希少な症例を授業で使いたいなどのご要望があれば、ぜひ一度ご相談頂ければと思います。

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TMEDフォーラム参加報告

3月15日(水)に第2回TMEDフォーラムに参加してきました。

TMEDフォーラムとは、多摩キャンパスの都立多摩総合医療センター、都立小児総合医療センター、都立神経病院、府中療育センターとの連携強化のための合同研究発表会です。

第一部の研究発表では、小児総合医療センターの賀来卯生子先生が「極底出生体重児の乳幼児腎機能の推移」、神経病院の林健太郎先生が「完全閉じ込め状態に至ったALS例の臨床病理学的特徴」、医学研の西村幸男先生が「人口神経接続による脳機能再建」というテーマでそれぞれ発表を行いました。

第一部が大変盛り上がり、第二部のポスターセッションは予定時間よりも少し遅いスタートとなりましたが、神経病理解析室もポスターを展示し活動をアピールしてきました。ポスターには、新井信隆室長が受賞された東京都職員表彰の写真や、改良を加えてリニューアルした学習教材のサンプル写真などを載せています。都立病院の先生方にも大変興味を持っていただき、データベースを知っていただく良い機会となりました。コンテンツ内には都立病院の医療従事者用に専用のルームも作成しておりますので、今後の自己学習や研究にぜひご活用して頂ければと思います。

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東京都職員表彰(知事表彰)、福祉保健局長賞を受賞

2月8日(火)、都庁へ行って参りました。午前中は福祉保健局長賞の表彰式、午後3時からは、東京都職員表彰(知事表彰)の表彰式に出席してきました。

午前11時からの福祉保健局長賞の表彰式では、受賞者を代表して挨拶をさせていただきました。午後3時からの知事表彰では、1時半から入念なリハーサルがあり、30分前からは報道各社のテレビクルーが大きなデレビカメラを抱えて大挙して来場するなど、ピリピリドキドキの雰囲気でした。

受賞の対象は、職務発明というカテゴリーの「世界をリードする脳神経病理データベースの構築」であり、受賞者は、筆者単独となっていますが、チームキアズマを中心に、データベース関係スタッフのご尽力の賜物です。皆様ありがとうございます。

このデータベースは、医学研の前身である東京都神経科学総合研究所・臨床神経病理研究部門が長年作成してきた貴重な病理標本をデジタル化したものであり、乳幼児期から老年期までに発生する、ほぼすべての神経疾患の病理画像データ集となっています。これらのデータは、インターネットで閲覧することができ、さらに、視野の移動や拡大・縮小がモニター上でできる仕組みが組み込まれています。

これまでに都立病院、公社病院、監察医務院のドクターの自己研鑽、医学部での病理実習、医療系学部での講義などでリモートから利用していただいています。

今後、ライセンスを取得して、知財活動にも寄与してゆきたいと考えていますので、これからもさらに頑張って参ります。

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ガイドライン

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