12月16日、会長シンポジウム「動物の神経疾患の病理」のシンポジストを担当していただく、京都大学霊長類研究所の高田昌彦教授のラボを訪問してきました。愛知県犬山市です。国宝犬山城を見渡せる絶好のロケーションです。
高田先生は、以前、東京都神経科学総合研究所の研究員でもありましたので、旧知の先生になります。
研究内容の詳細は、学術研究会で発表してくださいますが、大変貴重な研究成果を発表してくださることになっています。私も実際に訪問していろいろお話しを伺い、そのような感を強くした次第です。
最近の研究成果の参考論文はこちらになります。
PLoS One. 2016 Nov 18;11(11):e0166861. doi: 10.1371/journal.pone.0166861. eCollection 2016.
報告:新井
11月20日、第4回石川県てんかん医療研究会教育セミナー(金沢市)において、講演をしてきました。会の冒頭、代表世話人である浅ノ川総合病院・てんかんセンター長の川村哲朗先生から、『このセミナーは石川県高度・専門医療人材養成支援事業の一環として行われている』とのご説明がありましたが、ANAクラウンプラザホテル金沢の一番大きな会場がほぼ満席になるなど、大変有意義なセミナーであるとともに、石川県の取組みに感服した次第です。
演者は(私以外)錚々たるメンバーでした。
東京女子医大 小児科 小国 弘量教授
京都大学 てんかん・運動異常生理学 池田 昭夫教授
愛知医大 精神神経科 兼本浩祐教授
静岡てんかん・神経医療センター 井上 有史院長
そして、私、新井。
私の担当は「てんかんの病理」というテーマでした。その他の演題は、臨床的な課題についてであり、私自身も大変勉強になりました。このたびは、招聘していただき、ありがとうございました。
報告:新井
10月9日、第50回日本てんかん学会の企画である第11回てんかん学研修セミナーで、「てんかん病理学の基礎」というレクチャーを行ってきました。会場は静岡グランシップです。てんかん学会、てんかん外科学会、てんかん懇話会など、てんかんと名のつく研究会での講演は、かれこれ20回目くらいになるかと思いますが、毎度、日進月歩の診断法を取り入れた発表を心がけますので、新鮮な気持ちで準備をしています。
思えば、20年以上前に、ロンドンの精神医学研究所・神経病理学研究室(Prof.Lantos)に留学していたとき、同じキャンパスのモーズレー病院のてんかん外科切除標本の診断に触れたことが、この世界に入ったきっかけです。モーズレー病院は、100年以上前からのてんかん外科治療の発祥の地であり、限局性皮質異形成(Focal cortical dysplasia)の原著例をレポートした病院になります。モーズレーキャンパスでのてんかん外科病理診断の経験が、私の一部を形成してきたと感じています。
てんかん学会でのデビューは、帰国間もない頃、会長の石島武一先生(当時、府中療育センター院長、元都立神経病院脳神経外科部長)が、かけだしの若造の私に依頼された「教育講演」が最初です。てんかん学会へのデビューが、一般演題ではなく、教育講演なんておこがましい、と私も思いましたが、かれこれ20余年、ウェブコンテンツを交えたセミナースタイルへと進化しているところです。研修セミナー用のウェブコンテンツへのログインアカウントは、参加者のみへのものになりますが、ご興味ある方はご連絡ください。
報告:新井
å9月8日〜10日に神戸で開催された第15回日本デジタルパソロジー研究会に参加してきました。今回の世話人総会長は神戸大学医学部付属病院病理診断科教授の伊藤智雄先生が務められています。
会場はポートライナーの京コンピューター前にある神戸大学統合研究拠点で、すぐ隣には神戸どうぶつ王国があります。
初日は午後からの開始となり、まず「デジタルパソロジー技術基準第2版」の成立についてのお話からでした。その後、一般演題では各施設のバーチャルスライドの運用状況や、病理教育への活用法など、施設ごとの様々な取り組みや運用の工夫が見られ、とても参考になりました。
その後、デジタルパソロジー・イブニングミーティングでは「デジタルパソロジーの光と影」というテーマで、反対と賛成の両立場からのプレゼンと討論が行われました。賛成側の討論者には長崎大学大学院病理診断科教授の福岡順也先生が、反対側は伊藤智雄先生がそれぞれ代表となり、熱い討論を交わしてらっしゃいました。伊藤先生は「本当はデジタルパソロジー賛成派なのですが」と前置きしたうえで、デジタルパソロジーが現在持っている様々な問題をあげ、それに対して福岡先生がどのように問題を解決するか、またそれに勝るデジタルパソロジーのメリットなどをプレゼンして下さいました。デジタルパソロジーの制度や技術的な問題点について改めて考えさせられる時間でした。
2日目は「WSI病理診断の保険収載に向けて」というテーマのシンポジウムからスタートしました。アナログとデジタルで診断に違いがでるのか、WSIの信頼性はどの程度あるのかといった内容のお話を聞くことができ、実際にスライドガラスとWSIでの診断の比較検討を行った実験結果など、大変興味深く拝見させて頂きました。
シンポジウムの後半では厚生労働省の医療機器政策室から金光一瑛室長補佐が「医療機器の保険適用とデジタルパソロジーの実用化に向けた取り組みについて」というタイトルで、診療報酬体系について詳しく説明して下さいました。その後の総合討論では多くの質問が出ており、このシンポジウムの関心の高さを伺うことが出来ます。
午後はデジタルパソロジーの世界展開というテーマで英語のセッションが行われ、世界各国でのデジタルパソロジーの歴史や今後の展望など普段なかなか聞く機会のない貴重なお話を聞くことが出来ました。その中でも特に伊藤先生がバングラディッシュ、ネパール、ブータンなどの多くの国で病理ラボを改善して回った話はとても面白く、参考になりました。
3日目は最初にIHEの活動についてのセッションから始まり、その後、一般演題では画像解析、自動診断、技術というテーマでWSIの最新技術を使った取り組みについての話が続きます。WSIから色情報や特徴を抽出することによって、組織の線維化を定量したり、異常箇所を自動検出することが出来るようになったり、WSIを使った技術の進歩の早さには驚くばかりです。
今回、初めてデジタルパソロジー研究会に参加しましたが、医療関係者、ベンダー、厚労省など様々な角度からデジタルパソロジーについての話を聞くことが出来て大変勉強になりました。デジタルパソロジーにはまだ解決すべき問題もありますが、期待も大きく、デジタルパソロジーのこれからがとても楽しみです。
報告:小島
6月15日の法医病理研究会に引き続き、8月5日午後と6日午前、あわせて5時間ほどのプレゼンをさせていただき、無事、大役を果たすことができました。
会場は、横浜市立大学金沢八景キャンパスに新築された多目的ホールである「YCUスクエア(写真)」でした。このあたりは、私が横浜市大医学部の学生だったころは、体育館があったところであり、全学の学園祭である浜大祭の実行委員として、当時デビュー間もない頃の太田裕美さんのコンサートを企画したことを懐かしく思い出しました。
今回は2日間ともに、私だけが招聘講師だったため、不測の体調不良などで穴をあけてはいけないと思い、休肝日をいつもより多くするなど、かなり節制して臨みましたが、無事、役目を果たすことができました。あとは、受講者の皆様の満足度が高いとよいのですが、いかがだったでしょうか?
プログラムは下記の通りでした。内容に対応してデジタルコンテンツ集(この夏は神経病理!)も、脳神経病理データベース内に搭載して、参加者にログインアカウントを発行しました。
お世話になりました井濱先生(横浜市大法医学)、原田先生(防衛医大法医学)に心から感謝申し上げます。
報告:新井