新井信隆、小島利香、植木信子、八木朋子、関絵里香
公益財団法人 東京都医学総合研究所・神経病理解析室
東京都医学総合研究所・神経病理解析室は脳病理診断の精度向上への寄与を目標に掲げた活動を展開している。本解析室には約5,000例のヒト脳神経疾患の病理標本があり、これらから高精度なホールスライドイメージング(whole slide imaging; WSI)を作成している。そして、それらを専用サーバに搭載することにより、「東京都医学研・脳神経病理データベース」を構築し、デジタル実習の医学部向けの教材の運用を試行してきた。今回、より初学者にわかりやすい学習教材を作成するために我々が行った独自の工夫について紹介する。
WSIにPhotoshopでアノテーション加工を施し、Zoomifyに書き出しを行うことでZoom&Panによるスムーズな画像観察を可能にした。弱拡大・強拡大それぞれに解説をつけ、閲覧者が習得すべき画像と解説に迷うことなく到達できるよう工夫した。
セットAperio社 ScanScope
スキャンデータはSVS形式で保存される
JPEGに変換SVSからJPEGやTIFFといった一般的な拡張子に変換する
JPEGとHTMLファイルの作成ここまでの行程はScanScopeで行う
Photoshop学習用の加工を行う
解説を書き込む強拡大画像に直接解説を書き込む
Zoomifyに書き出す
ファイル名やサイズを決めるノートパソコンの利用者が多いことから600×600ピクセルのサイズに設定
JPEGとHTMLファイルの作成
サーバに搭載
Zoomify教材により、閲覧者はディスカッション顕微鏡を覗きながらチューターの解説を受けているような勉強が可能になった。一人でデジタル実習をする際にもWSI上で迷子になることがなくなり、学習効果が高まった。