公益財団法人東京都医学総合研究所 神経病理解析室 小島 利香
こちらが東京都医学研・脳神経病理データベースのトップページです。検索エンジンで脳神経病理と検索すると一番上に出てきます。
こちらは脳神経病理データベースの昨年度のアクセス解析結果です。2015年度の一年間で、90の国と地域、1455都市から、84083ユーザーが、114073アクセス、275029ページビューを行っていました。ユーザー数やアクセス数なども伸びて、利用度や普及度は毎年増しています。
データベースの内容についてご紹介させて頂きます。
データベースは内容によって、ベーシック、アドヴァンス、テクニカル、プロフェッショナルの4つのカテゴリーに分かれています。上の3つはアクセスフリーの教材になっていますが、プロフェッショナルコンテンツでは利用者ごとにアカウントを発行した特定ユーザー向けのグループルームを作成しています。
ベーシックコンテンツでは神経病理を学習するにあたり、基本となる教科書的な内容を掲載しています。「中枢神経・マクロ&ミクロ」、「コアカリ用語・白熱教室」、「細胞病理・系統講義」といったコンテンツに分かれています。
中枢神経・マクロ&ミクロではホルマリン固定脳や、KB染色のルーペ像から部位の名称を学習したり、HE、KB、Bodianといった代表的な染色の正常ミクロ画像で細胞の見え方などを学習することが出来ます。
コアカリ用語・白熱教室では、神経細胞、神経突起、髄鞘、アストロサイト、オリゴデンドロサイトなど、中枢神経系の各種細胞の病理変化のうち、これだけ知っていればよし、というコア病理画像を掲載しています。
次に、アドヴァンスコンテンツのご紹介です。
アドヴァンスコンテンツはベーシックコンテンツよりもやや専門的な内容になっています。各種神経疾患の病理所見の解説や問題点についてのテキストデータや、講演などで使用したプレゼンテーションデータを閲覧することが出来ます。
こちらは、アドヴァンスコンテンツ中にある「第17回日本難病看護学会」で使用したプレゼンテーションです。サイトのアクセス解析で毎月人気のあるページのランキングをご紹介しているのですが、こちらのページは毎月トップ5に入っている大人気のページです。アクセスフリーのページになりますので、ぜひ皆様にご覧頂ければと思います。
テクニカルコンテンツでは技術者のための病理標本作成方法を掲載しています。解剖からブロック作成、染色、封入までのテクニカルな情報をテキストと写真でわかりやすく解説しています。
今はまだ作成中なのですが、病理標本からバーチャルスライドを作成する方法を「デジタル化メソッド」として掲載する予定です。
テクニカルコンテンツ中の、組織標本作成メソッドでは、染色のカテゴリーがとても充実しています。代表的な染色を動画や写真などを使って、染色の方法やポイントなどをわかりやすく紹介しています。上がLFB染色で、動画やイラストで染色のポイントを紹介しています。下はガリアス染色で、テキストと写真を使って染色手順と、それに対する標本の状態変化を紹介しています。
また、初心者ではなかなか調整が難しい分別時間や反応時間も、時間によって変わる染色結果を比較して掲載することで鑑別に適した染色像がわかるようになっています。
最後に、プロフェッショナルコンテンツをご紹介します。先程までのコンテンツと異なり、こちらのコンテンツではアカウントを発行してユーザーを限定しています。
プロフェッショナルコンテンツではコンテンツマネジメントシステムの一つであるNetCommonsを使って専門家向けのグループルームを作成しており、「デジタル顕微鏡実習」では大学向けに学習教材を作成しています。「アカデミー」では都立病院・公社病院の医療専門職用に自己学習ルームや、提携病院とのウェブカンファレンスルームを、「診断標準化」では病理診断の標準化のための専門家が集うフォーラムをそれぞれ作成しています。「コラボレーション」は共同研究者との共有グループルームになっています。
こちらは、アカデミーの中にある秋田大学とあきた病院の医師向けのウェブカンファレンスルームです。剖検例のCPC、外科病理検討会のデータを搭載したルームになっています。ブレインカッティングの動画や、マクロ画像、作成した標本のバーチャルスライドなどが搭載されており、遠く離れた秋田からでも、切出しの様子を見ることが出来たり、バーチャルスライドによって病理標本を郵送しなくても様々な人が同時に観察することが出来ます。
こちらは、コラボレーションの中にある共同研究者との共有ルームの一例です。この標本はパーキンソン病の深部脳刺激手術の後のものですが、作成した病理標本のバーチャルスライドが搭載されています。このルームの特徴は、掲示板でコメントを書き込める機能がついており、バーチャルスライドを見た共同研究者と掲示板上で病理検索の進捗を確認することが出来るようになっています。